「Sigh」
作者 年中楽しい人

掲示板で投稿されてた小説デス。
許可いただいたので載せてみました。





序章。


「俺、寝てやがる…」

自分の死体を宙に浮きながら眺める俺。

「そうか…俺死んだのか…」

現場を見ればわかる。

俺の死体、
車輪がグシャグシャになった自転車、
おびただしい程の血、
集まる通行人の人だかり…

そして…横に転がる
俺の人生初めてもらったバレンタインチョコ

…真っ赤に染まりながらもなんとか読める胸ポケットの中の手紙

「中学の頃から好きでした。付き合ってください」

俺は遠くから聞こえる救急車のサイレンの音を、聞きながら手紙の返事を、明日にしたのを後悔した。




1章


ーーいーおい!ーーけいじ!おい!けいじ!

……頭にひどい頭痛がしながらも声の主に顔を向ける。

「おぉ!目ぇ開けた!」
半泣きになりながら喜んでいる親父が目に入る。
なんだ…親父か…

西本敦(にしもと あつし)
俺の親父だ…

ふと周りを見渡す。
わけのわからない線や、点滴の管がたくさん入り組んでいる。

けいじ大丈夫か?

西本敬司(にしもと けいじ)
俺の名前だ。

父「お前、自転車でバスにひかれたんだぞ。」

ーーそうだ…俺は…バスにひかれて…
…そっと胸ポケットに手を当てて中身を確認する。

ーーーあった。

俺「ふぅ」
安心して俺は深い溜め息を吐いた。

父「良かった…よかった……よかった」
俺が寝ているベッドに
顔をうずめて泣いている親父。

しばらく親父が泣き止むまで無言が続いた。

俺「親父。」

親父「何だ?」
まだ目が赤い
親父が返事をする。


俺「いつ退院できる?」

親父「先生の話によると、3ヶ月はかかるそうだ…」

俺は今日2回目の溜め息を吐いた。




2章

石川涼子は俺の幼なじみだ。

小中高おなじ学校に進んだ。

俺は涼子がキライじゃなかったむしろ好きな方だ。
外見、性格、は美人で、性格もよかった。

もちろん告白は受け入れるつもりだった。

だがこういう事は俺は慣れていないので逃げ去るように「明日…返事するよ」


……

俺「だけど、この体じゃあな…」

家は近いが
(ほぼ家の向かいにあるのだが)

学校でしか会わないので返事ができない。

そうこう考えているうちに俺は寝てしまった。



3章 番外編



「じゃあね、けいじ」

「いやだ、一人にしないで…」

「母さん…母さぁぁぁん!」


ーー目が覚める

「はぁ、はぁ」

顔から流れる汗を拭う。体中が汗でぐっしょり濡れている。
枕元に置いてあるスポーツドリンクを一気に飲み干す。
「夢か……当たり前だよな」


結局俺は眠れなかったので、病室のベッドで朝日が上るのを見ていた。

「キレイだな…」

朝日に照らされたけいじの顔はどこか悲し気だった。





4章


…眠れなかった。
理由は…まぁいい

朝だ…朝飯と点滴を交換しに看護婦が来る。
ニコニコしながら話かけてきた。俺も軽く挨拶しながら返す。

「気分はどうですか?」
「まぁまぁいいです。」
「そうですか、よかったです」

そのあと朝飯を食べて、俺は平凡な日を過ごす

…………ハズだった。

ちょうど昼の「笑って□いとも!」をみていた時だった。

圭介「おーっす!」

涼子「おはよ〜大丈夫?」

俺「よぉもうほとんど大丈夫だぜ。」

圭介「いや〜お前やっちまったな!」

コイツは鏡原 圭介(きょうはら けいすけ)

コイツも幼なじみで、いわゆる悪友で、クラスも一緒だ。

圭介「まぁなんだ、ヒマだろうと思ってな」

圭介がおもむろにポケットから何かを取り出す。
圭介「ヒマつぶしの大道!トランプ!」

俺「おぉいいなやろう。やろう」

涼子「うん、いいね。やろう」

…と、始まったのだが…
圭介「あぁああ…勝てねぇ!」

俺「まぁ…ドンマイ」

涼子「運が悪いだけだよ」

涼子も苦笑いでフォローをする。

圭介「よっしゃ!もう一回!」…♪♪♪♪♪

圭介の携帯が鳴る

圭介「あ、ちょっとゴメン」

俺「ここ病院だぞ、電源切っとけ」

圭介が小走りで病室を出て行った。

……その間、涼子は顔を真っ赤にしながら下をうつむいていた。
そして…

涼子「あのさ」

俺「涼子」

ほぼ同時に言った。

涼子「なに?」

俺「涼子から言って」



……

…………

ーー涼子「敬司…昨日の事だけどさ…」

圭介「ゴメンゴメン遅くなった…………ん?何かあった?」

涼子「ううん、何でもない」

圭介「あ〜!まさか俺を陥れる作戦を…」

涼子・俺「してない。」


そんなこんなで夕方になった。
圭介「じゃあ俺ら帰るわ」

涼子「じゃあね」

俺「おぅ気をつけてな」

圭介「お前が言うセリフかよ。じゃあ涼子、先行っとくぞ」

涼子「…敬司」

涼子が耳元でささやく

「返事は……いつでもいいよ」

俺「…」

涼子「じゃあね……早く治るといいね」

俺「おぅじゃあな」

……早く直さないと…

その夜ずっと涼子の囁いた声を思い出していた。





5章


病院生活にも慣れてきたある日。

奈々子「こんにちは」

俺「あ、こんにちは」

奈々子「今日もいい天気だね」

この子は前川奈々子
俺の隣のベッドの子でこの子も交通事故を起こしたらしい

お互いに事故の時の話をしていて仲良くなった。まぁ年下(奈々子は15歳で俺は16歳)なので話やすかった。

まぁ俺は携帯も家に忘れていて親父もあまり来ないので、話し相手にもなってくれていた。


俺「そうだな、昨日は雨降っててジトジトしてたから晴れてよかったな」
奈々子「私は…雨…キライなんだ…」

俺「ん?何でだ?」

奈々子「私…雨が降っていた時に…車に…」

俺「ゴメン」

俺は言葉をさえぎるようにあやまった。

奈々子「ううん…いいよ」

奈々子「…それより!高校生活ってどう?」

俺「え?あぁ中三だしな。まぁ中学よりは楽だし楽しいよ」

奈々子「へぇ〜。勉強は難しい?」

俺「高校によって変わると思うケド俺らの学校は楽だよ。」

奈々子「ふぅ〜ん。あ、敬司さんって高校どこ?」

俺「あ、深陽高校だよ。」

奈々子「え〜!あそこかなり倍率高いとこじゃん!」

………

こんなかんじで会話が進んでいったとき。


→6章 HAPPY END編
→6章 BADE END編