6章
奈々子「あの…さ…」
俺「ん?」
奈々子「敬司さんって彼女とか居るの?」
俺は居ると言ったらからかわれると思い、
俺「居ないよ」
涼子「ホントに〜?」
俺「あぁいないよ。好きな人も居ない」
ー
ーー
その日の夜、前親父に頼んでおいた携帯を取ってきてもらった。
メール:1件
ん?
メールの本文を見てみる。
「明日1時に屋上で待ってる。」
…なんじゃこりゃ?
とりあえず明日行ってみるか…
……
…
そろそろ1時だ…
俺は屋上に続く階段に向かった。
しかし、なぜか人だかりができていてのぼれない。
話声が聞こえる
ーーおい、あれ生きてるのか?
ーーさぁ?しらねぇよ
人だかりをかき分けて
真ん中にある物をみて
全身が鳥肌がたった。
真ん中にいる物はー
ー倒れている涼子だった
うあぁああぁあぁぁ
俺は自分でも気づかないで大声を出して、生気がない涼子のところに走りよって泣きながら、もう動かない涼子にしがみついていた。
俺「涼子!涼子〜!」
そして、看護婦などが走ってきた。
そのまま涼子は手術室に連れて行かれた。
俺は手術が終わるまで、ずっと血に染まったあの手紙を読み返していた。
ーーガチャ
不意に手術室が開いた。そして俺は、
俺「涼子は?…涼子は…どうなりましたか…」
医者「……残念ですが」
俺「…」
俺は音もなくその場に
座り込んだ。
医者「彼女はこんなものを持っていました。」
ポケットから何かを取り出した。
ーーーー睡眠薬。
医者「多分多量の薬物摂取でしょう。血液から普通の25倍の睡眠薬の成分が見つかりました。」
ちくしょう。ちくしょうちくしょうちくしょう。
医者「あとこれも持っていました。」
ーー携帯電話。
携帯にぶらさがるストラップは入学式に圭介たちと遊びに行った時に俺が買ってあげたストラップだ。
俺は涙が止まらなかった。
携帯を開いてみる。
メールの画面だ
俺宛て
件名
ゴメンね
本文 昨日、私は敬司のお見舞いに行こうとしました。だけど同じ病室の人との会話を聞いてしまいました。ゴメンね。敬司は私が好きじゃないんだね。…辛い…これ以上は生きる気がしないので、一生眠る事にします。
これ以上は辛くて見れなかった。
医者「それじゃあ…私はこれで」
俺「…」
それからの俺は抜け殻のようだった。
奈々子「大丈夫?」
俺「あぁ…」
気の抜けた返事をかえす。
涼子に謝りたい。
涼子に謝りたい。
その一心だった。
気がつくと俺は
夜の屋上にいた。
そしてだれにも聞こえないくらいにちいさな声で
俺「待ってろ、俺もそっちいくから」
敬司の体が落下して…
ドスッ!
下で鈍い音がした。
アスファルトに赤い血溜まりがてきる。
血で染まる敬司の顔は笑顔だった。
音もなく涼子からの手紙がおちてきた。
BADEND完