6章
奈々子「あの…さ」
俺「ん?何?」
奈々子が急にモジモジしながら聞いてくる。
奈々子「敬司さんって…彼女とかって居るの?」
俺「…」
俺「…いないよ」
奈々子「そう…なんだ」
ーードサッ!
何かが落ちた音がした。
ドアの端から果物が転がってきた。
視線を上に向けていくと…
涼子「…」
涼子がいた。
今にも泣きそうな
顔をしている。
俺「涼子!」
涼子は走り去っていった。
慌てて追いかけようとするが、点滴やいろいろなコードが絡まって動けなかった。
……………
沈黙が続く。
奈々子も呆然としている。
(とにかく、次あったらあやまらないとな……)
ちょうど親父が今日の夜来たので携帯を取ってくるように頼んでおいた。
俺「ふぅ…」
いつもより深いため息を吐いた。
7章
件名 ゴメン
本文
次ちゃんと会って話がしたい。次会えないか?
………送信っと
はぁ…どう話そうか…
何で俺「居ない」って言ったんだろう。
俺としては、まだ告白の返事はしていないので付き合っていないので彼女ではないと思っていたのだが…
俺「やっぱ傷ついたよなぁ」
俺もそういうコトされたら傷つくかもな…
♪♪♪♪♪
俺「っとメールだ」
件名 わかった。
明日昼に病院の屋上で会おう。
ーーふぅ…明日全部ありのままに話そう。
そして…
告白の返事も。
8章
待ち合わせ時間より早くついてしまった。
周りは高層ビル。
ただ、少し風があるので気持ちいい。
ー
ーー
ーーー
あと待ち合わせ時間まで残り5分ほどになった。
♪♪♪♪♪
不意に携帯がなる。
手汗で携帯を落としそうになる。
件名 ゴメンまった?
本文 後ろ。
ーーえ?
慌てて後ろを振り返る。軽く手を振る涼子がいた。
今で沈黙が5分続いた。最初に口を開いたのは俺だった。
俺「…あのさ」
涼子「うん」
俺「これから言う事は全部本当だ。」
涼子「うん」
俺「俺としてはまだ返事をしていないから彼女はいない…と言う意味で言ったんだ。」
涼子「うん」
涼子はすっかり下を向いている。
俺「だから……だからちゃんと返事をしようと思う。」
涼子が顔を上げる。
よく見るとその目は…かなりくまができている。多分夜、眠れなかったのだろう。
俺「俺は…俺は…涼子が好きだ」
俺「逆に告白させてくれ……俺は…西本敬司は…石川涼子が誰よりも大好きだ!付き合ってください!」
一番時間が長く感じた。涼子の目から一筋の涙が流れ落ちる。
涼子「…よろしく…お願い……します」
俺は間髪入れずに強く…強く抱きしめた。
俺「ずっと…絶対はなさねぇから」
涼子「う…ん」
涼子は俺に抱きしめられたまま声をだしながら泣いた。
俺は涼子が泣き止むまでずっと…ずっと…強く抱きしめた。
第一部…完