随時追加をしてまいります。


【其の一】「越前おろしそば」の歴史
  今から約400年ほど前の慶長6年(1601年)、本多富正公が京都伏見から越前府中(現・越前市)領主として入国のとき、そば師・金子権左衛門を同行し、救荒作物(きゅうこうさくもつ=凶作に備えるために栽培する作物)と して「そばの栽培」を奨励しました。
  そして「大根おろし」をかけて食することで健康に良い食べ物として城下の人々に広めたことが、福井での「おろしそば」の始まりとされています。

さらに昭和22年、昭和天皇が福井県へお出ましのおりに、初めて「おろしそば」を召し上がられました。よほどお気に召したようで、皇居へ戻られてからも「あの越前のそば・・・・・」とたびたび側近の方に話されたということで、以来「越前おろしそば」と呼ぶようになりました。

越前市の観光地「紫式部公園」



【其の二】おいしい「越前そば」は、名水がつくる
 

「そば」は、こねる時、茹でる時に水を使い、そして食べるときのだし汁にも水を使いますから、食味には水の良し悪しが大きく関わっています。
そして、原料の玄そばも種蒔きから収穫までの栽培時に気候や環境、すなわち水や土が大きく影響しています。
全国各地のそばどころもおいしいそばづくりに精進されていて切磋琢磨の努力はもちろんですが、福井はとてもよい水に恵まれていて、天の恵みのコンコンと湧き出る福井の名水がおいしいそばを作っているといっても過言ではありません。
また、福井は、コシヒカリの産地の米どころでもあり、おいしい日本酒も造られています。




【其の三】「越前おろしそば」は健康長寿の素
 

「そば」は、栄養学的にバランスのいい優れた食品です。タンパク質をはじめ、脚気などを予防するビタミンB1、今話題の「そばポリフェノール」やアミノ酸・リノール酸・ミネラル、食物繊維も豊富です。
中でも、麺類ではそばだけに含まれる「そばポリフェノール=ルチン」は、毛細血管を強くして、高血圧や脳溢血、動脈硬化症、生活習慣病などに効き目があります。特にルチンは、ビタミンCと同時に摂ると、その働きが一層増すので、「おろしそば」は成人病予防に恰好の食べ物です。
さらに、肝臓機能の強化に効力があるコリン、血管の老化を防ぐビタミンEなども含まれ、健康を支える栄養素がいっぱいです。




【其の四】大根おろしは重要な”薬味”
 

「越前おろしそば」の大根おろしは、そばの味を引きたてながら体にも効く、まさに”薬味”です。
「大根おろし」は、さっぱりした口当たりとツンとくる辛味が食欲を増進させ、ジアスターゼという成分が消化を助け、また食あたりの予防にも効果があると言われています。
大根の皮に近い部分に含まれているビタミンPは、血管を強くする働きがあり、高血圧や脳溢血を防ぎます。
大根おろしの辛さについては、食べると体が震えそうなほど強い辛さ、ピリッとした軽い辛さ、甘さに隠れた辛さなど、個人の好みがあります。
「越前おろしそば」には、冬季の青首大根が甘くて辛味がたりない場合は、「辛味大根」のおろしで調整しているところもあります。




【其の五】おいしいね!「そば焼酎」
  「おそばを肴に、そば焼酎をチョイと一杯!」というお客様が増えています。

福井県産そば100%使用の「そば焼酎・越前おろしそば職人」が大好評です。 デンプン質の多い本県産ソバを原料に、低温でじっくりと時間をかけて造ったもろみの良いところだけを取り出す特別な蒸留方法で、香り高くさわやかな飲み口に仕上がっています。
  そば焼酎「越前おろしそば職人」は、小粒でそばの香りが高い福井県産玄そばの特徴が顕著に味や香りに出ています。
味の方向性としては、「お湯割り」・「そば湯割り」・「水割り」・「ロック」によく合う焼酎です。「そば本来の香りが生きていて、まろやかでフルーティー」と女性客にも好まれています。
そばを茹でた後のお湯には、とても栄養があり、その湯で割った「そば湯割り」は、昨今の健康ブームにのって健康な酒として喜ばれています。



【其の六】福井県のブランド品「越前おろしそば」
 

テレビの旅番組などで福井といえば、 「越前がに」や「甘えび」と並んで必ず「おろしそば」が登場します。
福井県では、豊かな自然に育まれた「海の幸・山の幸の特産品」においしさ のブランドマークをつけています。
「越前おろしそば」も1990年に、「越前おろしそば」のブランド名で認定を受けました。 現在、21品がブランド化していますが、メニュー(料理の品目)でブランド認定されているのは「越前おろしそば」だけで、きわめて珍しいことです。
これは、福井では、おろしそばが生活の中に根付いていて、全国に自信を持って推奨できるということの現れです。




【其の七】「越前そば」の器
 
昔から、越前おろしそばの器は、口径15センチ、深さ3センチほどの九谷焼や
伊万里焼の丸い和柄の絵皿が用いられています。
特にカラフルな絵皿に盛られた「おろしそば」は、冠婚葬祭にかかせない「ハレ」
の郷土食です。



【其の八】かくれた人気メニュー「永平寺そば」
  昭和40年頃、東京の三越デパートから、福井のそばを出して欲しいということで、永平寺の熊沢禅師に「雲水そば」という名前を了解していただき、福井麺類組合店のメニューとして誕生しました。
その後「永平寺そば」と名前が変わりましたが、県内には今でも定番メニューとして残している店があります。
  精進揚げ(季節の野菜のてんぷら)が麺の上にのっていて、麺つゆ(写真右)には少し甘い黒ゴマ味噌の固まりが入っています。
ゴマ味噌を麺つゆで溶いて、ゴマ味噌風味で召し上がっていただきます。