1.たたら製鉄

1−a.原料(鉄)

(砂鉄)
三国海水浴場の砂鉄は細かいが、貝場浜・黒崎の砂は 三国よりもやや粗い。しかし、拡大して観察するかぎり同じ様な概観である。
拡大すると
(黒い石)
道路などでよく見かける砂利の中に、黒色の石が見られる。これは磁石に感応して動く。(磁鉄鉱か?と思う)
(赤い石)
浜地海水浴場などで見かける少し大き目の赤い砂は、そのままでは磁石に感応しない。 しかし、焚き火跡ではこれが、磁石に感応する。
(赤泥)
赤土も浜地の赤い砂利同様に、そのままでは磁石に感応しないが、焼くと磁石に感応する。
 以上のことから、焼くことにより磁石に感応する性質が生じたと考えられる。太古の人もこのことに気づいていたと思われ、大同工業大学の横井先生は、水酸化鉄を焼いて鉄原料として使っている。能登の穴水の森川さんは、同様に、鬼板を原料として鉄を作っている。
 ここからは、化学の結晶学による「磁石に感応する性質」の説明が必要である。
 それから、鉄原料の純度の問題である。特に、自然に産する水酸化鉄の泥(鉄バクテリアが 集めたものも考えなければならない)の純度。これには、チタンなどは含まれない。 一方、鉱物である砂鉄には造岩鉱物の不純物としてのチタンその他が含まれる。
(鉱物の鉄含有量)
 鉱物として、磁鉄鉱は母岩から、硫化鉱は風化して水酸化物になり他の砂などに付着する。
 純粋に Fe3O4 と Fe2O3 で鉄含有量の比はほとんど同じである(密度の問題)。磁石で吸い付ける力をF、その砂鉄の重さをMとして吸い付け力の平衡から、F≧Mg。 この場合、磁石表面からの距離は磁石に着いていることから無視するとしても、力Fは、吸い付けられる鉱石にもよりけりである。

1−b.燃料(炭)
 古代には石炭やコークスの使用は考えられず、やはり、木炭と思われる。薪を燃料とする場合も、炉への連続的な投入により、炉下部では炭になっていると考えられる。
 炭材として、鍛冶では松炭と言われている。しかし、たたら製鉄であるから拘る必要はなく、また、古代においても材料を選ばない現地調達が基本であったと想像する。また、杉炭が良いとの江戸時代の文献もあった。
当初、研究会では、「松炭が良い」との推奨でこれを購入していたが、そのうち入手が困難となり杉炭購入に切り替えた。しかし、炭代もバカにならずいっそ自分たちで作ろうと200Lドラム缶で作りだした。
 それも最初は「松が良い」との固定観念が働いていたが、そのうち、どんな木炭でも良く、要は燃焼が早くて高い炉温度が維持されれば良いとの(考えてみればあたりまえ!!)考えに達している。

1−c.炉
 2001年元旦現在、掃除機やブロアーを使っているが、古代はブロアーがなく、せいぜい鞴(ふいご)であった。大煙道の吸い上げも利用したはずである。
横井炉 永田炉 煙突付き七輪炉

1−d.今後の課題
・原料について…加越の地質分布、標本の作成
・炉について…薪たたらの実証、大煙道の吸い上げ炉の実証、たたら炉分布地図
・共同作業の必要性…砂鉄などの原料採取、炭焼き、各種炉の制作

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