鱗について
ポリプテルスの鱗は硬鱗とよばれる菱形の鱗で…
と、その前に少し鱗の話をば…
鱗とは魚の特徴の一つで、外的や外傷から身を守るために皮膚が変化したものだ。
他に鱗をもつ生物として爬虫類等がいるが…
爬虫類の鱗は皮膚が角質化したもので魚の鱗のように一枚一枚を剥がすことが出来ない。
爬虫類の鱗剥がしたことあるひとなんていない… よね?
他にも鱗をもつ生物はいるんだけど、そこはアレだ。
面倒なんではしょらせていただく!
魚の鱗はいくつかの種類あり、『円鱗』『櫛鱗』『楯鱗』『硬鱗』がある。
一般的な魚では円鱗、櫛鱗が主流になっていて
円鱗、櫛鱗どちらの鱗も薄く、低層の繊維板層と表層の骨質層からなり
櫛鱗は表層がザラザラしている。
これらの鱗は屋根瓦のように重なって並んでいる。
鱗には木の年輪のようなものがあり、魚の年齢を推定することが出来るが…
一度抜けた鱗では年輪のようなものは再生した部分から出来てくるのであまりアテにはできない。
そもそも小さな鱗のさらに細かい年輪のようなものを数えようなんてヤツがいるのかどうか疑問である。
次に、サメやエイの仲間の鱗は楯鱗と呼ばれる。
サメやエイに鱗なんてあったのかい、って?
それがどうやらあるらしい。
楯鱗は後方に伸びる棘があるために逆撫でするとザラザラとした感触がありヤスリのようになっている。
これが結構ヤスれちゃったりするから侮れない。
テレビで見たんだが、このサメの鱗で大根をおろしていたので結構なものだな。
とある本ではジンベイザメという世界一大きいと有名なサメと一緒に泳いで
肌が擦り切れてぼろぼろになった研究者がいたのだとか…
まぁ、それくらいザラザラしてるらしい。
水族館でも実際にサメを触らせてくれるところもあるので
そのザラザラっぷりを実際に体感してみよう。
淡水エイのモトロ
鱗なんてあるの??
硬鱗はチョウザメやアミア、ガーの仲間にみられ、ポリプテルスもこの硬鱗の持ち主である。
硬鱗は化石種に多く、ポリプテルスは古代魚と呼ばれる所以だ。
ポリプテルスの硬鱗は円鱗や櫛鱗のように屋根瓦のようには重なっておらず
タイルのように敷石状に連なっている。
ポリプテルスの仲間の鱗は硬鱗 | アミア・カルヴァも硬鱗 |
ガーの仲間も硬鱗 |
この硬鱗は円鱗や櫛鱗のように一枚一枚を簡単に剥がすことは出来ない。
鱗同士が丈夫な靭帯様の組織で繋がっているからなのだが…
この鱗、普通では剥がすことは容易ではないが、ある事をするとたやすく剥がれる。
ある事とは即ち… 茹でるのだ。
熱を加えると鱗を繋ぐ靭帯、タンパク質出来ているのかモロくなる。
これでいともたやすく剥がすことが出来るぞ!!
当然、茹でるのでポリプテルスを殺すことになるのだが…
カメの甲羅を剥がせばカメは死ぬように
ポリプテルスの鱗を剥がすとポリプテルスは死ぬ。
よって剥がす必要など何処にもない。
ならぬものはならぬ。
いともたやすく行われるえげつない行為など… あってはならぬ。
ポリプテルスの鱗を剥がしてみた 一枚一枚がかなり頑丈に繋がっていて ペンチで引っ張ったくらいでは剥がすことが出来ないが熱を通すとあっさり剥がれるし 確かに硬い鱗ではあるが文明の利器である『ハサミ』で切ることも出来る |
この強力に繋がってる鱗。
鱗同士は繋がっているがある程度は自由に動くことが出来る。
ガンプラの関節程度には上下左右自由に動く。(ガンプラなめたらあかんぜよ!)
が、おそらく円鱗や櫛鱗ほどには自由が利かないはずだ。
硬鱗は骨質、象牙質で形作られ、そしてガノインと言うエナメルの一種で鱗の表面が覆われている。
この硬鱗、読んで字のごとくとても硬い。
同じ硬鱗を持つアリゲーターガーと言う魚は散弾銃で撃っても弾を撥ね返してしまうそうで
その気?になれば銃で撃っても効かないくらいに硬い。
どうしてこれほどに硬い鱗なのかと言うと…
一般的な魚の場合、効率よく餌を捕り効率よく敵から逃げられる…
ようするに遊泳力を強化するために鱗を薄くして柔軟性を求めて進化した。
ポリプテルスは遊泳力よりも硬い鱗を得ることで
敵から逃げることよりも敵からの攻撃を耐え切る防御力を強化するよう進化してきたからだ。
古生代に繁栄した魚類も防御重視で進化しており言わばポリプテルスは防御力を昇華させてきたのだ。
この辺もポリプテルスが古代魚と呼ばれる所以である。
ポリプテルスの種類を見分けるために見た目の形質を利用する場合があり
形質の一つに側線鱗数を数えるというものがある。
すなわち、ポリプテルスも側線を持っているということ。
側線とは魚類だけがもつ(一部の両生類も持ってるけど)超感覚器官と言ってもいいくらいの器官である!
これは水の乱れ、水圧、水流、振動などの変化を鋭敏に感じ取ることの出来る器官で
この器官のおかげで水の中の障害物をよけて泳いだり暗闇の中でもぶつからずに泳ぐことが出来る。
この側線、魚(ポリプテルス)のどこにあるのかと言うと
体の横側にあり、頭部から尾部にかけて一列に並んだ線がそれだ。
ポリプテルスの場合、ちょっと確認し辛いかもしれんが…
この線状に見えるものは鱗、一つ一つに小さな孔が開いていて
それらが連なって線状に見えている。
小さな孔が開いている鱗を側線鱗と呼ぶ。
この孔の中に水が通り、鱗の下にある側線管というものに水が入っていくのだが
管の中にはゼラチン状のクプラという隆起が並んでいて
その一つ一つに有毛細胞というセンサーの役割をする器官が包まれており
このセンサーで水の動きを刺激として感知されるようになっている。
側線センサーは体の横だけでなく顔の周りにも配置されており
前方の障害物を見つけるのに役立っている。
ポリプテルスの顔をよく見てみると顔の周りに小さな孔が沢山開いているのが確認できる。
おそらく、この孔は側線センサーと同じだと思う。
ちなみにこの孔…
僕は鼻の穴(鼻孔)じゃね?と疑っていた時期がオレにもありました…
生きているうちは意外と確認し難いポリプテルスの側線 体の真ん中に線のように見えるものが分かるかな? それが側線です 側線で水の中の振動を感じてるわけです …多分 |
ポリプテルスの顔をよく見てみると小さな孔が沢山開いていて おそらく側線と同じ役割… だと思う |
そして側線の事を書いたので魚の聴覚のことも書かねばなるまいッ!!
側線と耳って何か関係があるのか、だって…??
んー… あるような… ないような… 実はよく分かりません。
が、一応調べたんだし書くことにする。
さぁ、水中の音を聴けッ!
えー、音というのは空気の振動を鼓膜で受け取ることで認識しィ…?
これは水中でも原理は同じでェ?
水中の場合は空気ではなく水の振動が音になりィ…?
えぇっと… 水は空気より密度が高いのでェ?
音を伝えるためには水の方が空気よりはるかに音の通りが良いらしい…
ん… なんか良くワカランがそうらしい。
水中では音の通りは良いけど視界は悪い。
空気であれば十数キロ先まで見ることが出来るが
水中の視界の悪さときたら… 数メートル先さえ見ることは難しい。
よって水中生活者にとって音は視界よりも重要な情報源となるハズである。
そんな重要な情報源の音を魚が耳で聞く。
魚を見ても耳の穴らしきものがない。
それならば耳は何処にあり、どうやって音を聞くことができるのだろうか?
水中での音とは水の振動なのだそうだ。
当然、水中では魚は全身水に包まれた状態であり
音の振動は水を伝わり魚の体に伝わり骨に伝わり… そして内耳に伝わる。
つまり魚は最初、その全身で音の振動を感じとっている…
ちなみに内耳とは音を刺激として受け取る器官であり
平衡感覚を受ける半規管と音を受ける小嚢などから出来ており
内耳の中の音を受け取る小嚢などには
音の振動を受け取る有毛細胞が分布している… だそうです。
内耳がウキブクロと骨で繋がっている魚種の場合
音の振動をウキブクロで増幅して内耳に伝えるので
そのような魚種は大変に聴覚が優れている。
ポリプテルスはウキブクロが肺の役割をはたしているので
ウキブクロに増幅器の役割はないのではないんかなぁ… と思います。
魚の聴覚について軽ゥく説明してところで。
側線と聴覚がどう関係あるのか?
側線は水の『振動』を感じ取る器官であり
内耳とは水に伝わる音の『振動』を感じ取る器官…
同じ『振動』を感じ取っている?!
実際、側線にある振動を感じる有毛細胞と
内耳にある振動を感じる有毛細胞の構造は同じであり
センサーとしての刺激の感じ方も同じなのだという…
そう、つまり!!
魚は音を感じる器官が二つもあるってことか!?
と、そんな感じで側線と内耳とはそーゆー関係で
側線とは音を感じ取れると言える器官なのだ。
んんーー…?
なんか鱗の話と逸れた気もするけどきっと気のせい。