尾鰭について

まず魚の尾鰭について。
尾鰭にの役目についてだが…
なんとな~~~く分かると思うが尾鰭は魚が泳ぐ場合…
前に進むための推進力を作ったり方向を転換するために使われる。
で、その大事な役割を果たす尾鰭だが
その形状には魚種によっていくつか種類がある。

尾鰭を横から見たときに、鰭の上半分を上葉と呼び
下半分を下葉と呼ぶらしい。
上葉、下葉がほぼ同じ形をした尾鰭を『正尾』と言い
一般的な普通の魚に多い。


強い推進力を得られる尾鰭で遊泳に適した形になっており
推進力を尾鰭を扇ぐようにして生み出すことが出来る。
ちなみに正尾の形状にいくつか種類がある… 


海水魚のルリヤッコ
尾鰭の上下がほぼ同じ形になってる



上葉、下葉の形が違うものを『歪尾』(異尾とも)といい
サメやチョウザメ等の原始的な魚類に多い。
ポリプテルスもこの歪尾にあたる。
歪尾の場合、尾鰭を振ったときに水にかかる力が上下で異なるので
強い推進力を得ることが難しいそうだ。


   

ポリプテルスが尾鰭の上下は同じ形にならない
サメやチョウザメ等の原始的な魚類も尾鰭の上下が不揃い


…歪尾は強い推進力が得難いとか書いたけど
サメって泳ぐの早くね?と思ったけど築かなかったことにしとくよ
  

シュモクザメ
 
チョウザメ(知ってるとは思うけどチョウザメはサメの仲間じゃないから…)




ハイギョのように尾鰭の先が細く尖っているものを『両尾』と言い
マンボウのように尾鰭が消失して背鰭と尻鰭の後半が合体しているものを『橋尾』と言う。
橋尾の場合、実際には尾鰭じゃないけどね…
ちなみにシルバーアロワナの尾鰭は退化傾向にあるらしく
いつの日かマンボウのように尾鰭が消失して橋尾になっちゃたりして…



   
ハイギョの仲間 ネオケラトドゥス
尾鰭がとんがっています
…ネオケラの性格は尾鰭ほどとんがってはない
 




さて、尾鰭の種類の簡単な紹介はこのくらいにしておいて
ポリプテルスの尾鰭(歪尾)と一般的な魚の尾鰭(正尾)の違いについて。
 
実はポリプテルスの歪尾と一般的な魚の正尾は見た目だけでなく中身の作りも違うのだ。
正尾の魚は尾鰭の部分の骨が扇形になっていて
扇形で頑丈に補強されているので尾鰭のみで泳ぐための推進力を得られようになっている。
ポリプテルスの場合、脊椎骨がそのまま伸びているだけ。
扇形の骨の変わりに細い骨が何個もついている。
正尾の一般的な魚に見られる扇形の骨は、この細い骨が進化して癒合したものだそうだ。
ポリプテルスは進化した扇形の骨を持たないので
尾鰭だけで泳ぐための推進力を得ることが難しい。
そのために推進力を得るには体をくねらせて体全体を使うことになる。
全身運動?のために体力を使うのか、長時間の運動は苦手なようだ。
これでは一般的な魚と比べると泳ぐのが下手に見えてしまうのも仕方あるまい。

基本は水底でじっとしてるのだが
別に好きでグータラしてるわけではありません。
多分… 

   
泳ぐために進化した正尾と体の形
体後方を動かすだけで強い推進力が得られる
基本的に全身を使って泳ぐポリプテルス
その動きからニョロニョロしてると評されることも…
陸上の上がってもその動きはニョロニョロ



ポリプテルスは体をくねらせて泳ぐと書いたけど
実際には状況に合わせて泳ぎ方を変える。
魚が泳ぐとき、一般的に体のどこかに支点を持ち
そこを基点にして尾鰭を動かし
その反作用として頭部が反対側に動くことなる。
どーゆー事かと言うと…

普段、ポリプテルスがゆっくり泳ぐときは体全体を動かして泳ぐわけだが
体の動きは尾鰭、胴体部を左右に動かし頭の部分はその反対側に左右に振る。
頭が左右に振るわけでどうしても水の抵抗が大きくなる。
このような泳ぎの場合、尾鰭を動かす支点は体の中心になる。
体の真ん中を支点にして頭と尾鰭を動かすわけだ。

普段以外… 例えば命に関わる緊急時はどうするのか??
緊急時ならば… 素早くその場を離れる必要があるッ!!
そのような時、ポリプテルスはどのようにして泳ぐのかと言うと…
出来る限り頭を左右に振らず体後方と尾鰭を力強く左右に動かし
素早く前進するための強力な瞬発力を得るように泳ぐ。
この時、尾鰭を動かす支点は体の後方部になる。

つまり、魚が泳ぐときは尾鰭を動かす支点が体のどこかにあると言う事。
早く泳ぐために効率の良い泳ぎ方と言うのは
尾鰭を動かす支点を出来るだけ体後方に持って尾鰭だけを動かし
なおかつ頭を左右に振らない事。
一般的な魚で言うと、マグロの仲間がこのような泳ぎ方が出来るように特化している。
ポリプテルスは急いで泳ぐ時は支点を体の後方に持ってくるものの
基本的にマグロの仲間のような泳ぎには特化しておらず
尾鰭を動かす支点を後方に持ってきていても
体はくねるように動くので水の抵抗は受けやすくなっている。
これは先に書いた通り、一般的な魚の尾鰭部分の骨と
ポリプテルスの尾鰭部分の骨との作りが違うためと思われる。
だが、泳ぐことに特化はしていなくても
ポリプテルスは支点を変えることで
その状況に合わせた臨機応変な泳ぎ方が出来るとも言えよう。
この臨機応変さも古代よりその姿をあまり変えずにいられた原因の一つ…
なのかもしれないけど
間違ってもどっちつかずの中途半端な魚だなぁ… などとは思わないであげて欲しい。

…まぁ、実際にはどんな魚種でもゆっくり泳いだり
急いで泳いだりと状況に合わせて泳ぎ方を使い分けている訳です。