胸鰭について



一般的な普通の魚と比べると…
大した違いなんてないなぁ… 
と、見た目だけで決め付けたくなる訳だが…
でもそれじゃあこのページの意味がないなと思うので
とりあえず調べたことを書いてみる。

胸鰭は普通、魚の体の真横についていて
体のバランスや方向転換などをするときに使われる。
ポリプテルスの場合、胸鰭は体の腹面付近にあり
普通の魚の胸鰭の機能と比べるとあまりよろしくない。
いや、「普通と比べる」… そんなものに意味などない。
その考えそのものが世の中の負の連鎖であって… 
そこに何かを見出すことなど何の意味もないのだ。
普通の人にはそれがワカランのです。
あ、普通と比べちゃった。話を戻そう。
ポリプテルスの胸鰭は水中で浮くときに
パタパタと動かしてバランスをとっているように見える時もあるので
全くの役立たずと言う訳でもない。


大きくて立派な胸鰭
腹面付近にあり
見た目はシーラカンスの鰭のよう


パタパタと胸鰭を使って泳いで移動するのだが
その時は胸鰭は体の後ろに向けてパタパタ仰いで推進力を得ているようだ。
他にも胸鰭を利用して腕立て伏せのような状態で水底に静止するのに利用している。
これでバランスをとっている… よーに見えなくもない。
ポリプテルスは腕鰭類と称されるだけあって
確かに腕立て伏せのように静止してるところを見ると
まるで爬虫類や両生類の腕のように見える。


胸鰭を立てて腕立て伏せ してるよーに見えるの図


が、そう見えるだけで爬虫類や両生類のような四肢動物の腕とは何の関係もない。
四肢動物の腕に近い構造をしている胸鰭を持っているのは
生きた化石と呼ばれるシーラカンスやハイギョである。
シーラカンスやハイギョの胸鰭を構成している部分は四肢動物にも見られる骨があり
シーラカンスやハイギョ(肉鰭類と呼ばれている)は一般的な普通の魚よりも
両生類などの魚類に近い四肢動物と近縁であると考えられているらしい。

すでに絶滅してしまったユーステノプテロン(エウステロプテロンとも呼ばれる)
ユーステノプテロンもまた胸鰭に四肢動物にも見られる骨がある。
この骨がやがて手足へと進化し… 両生類となり…
四肢動物の祖先ではないか?と言われていたそうだが
鼻孔の状態などから四肢動物の祖先に近いのはユーステノプテロンではなく
ハイギョの仲間ではないか?と言われるようになったそうだ。
ユーステノプテロンの胸鰭にはポリプテルスのような肉厚の基部あり
水底を歩けたのかもしれないが、あくまで泳ぐための鰭のように見える。
ユーステノプテロンがこのような鰭を持ったのは
水草などの障害物をかき分けて泳ぐ必要があったために頑丈な胸鰭になったと考えられてるそうな。
ユーステノプテロンよりも両生類に近い魚はパンデリクティスという魚。


ユーステノプテロン
 の化石
水草を押しのけて泳ぐために肉厚の基部をもつ鰭に進化したのだとか?


パンデリクティスの胸鰭(腹鰭も)はほとんど手足と呼べる代物で
(近年の研究ではこの鰭から指のような骨も見つかっている)
手足のような鰭といっても、歩くというよりも水底を這い回るといった使い方をしてたらしい。
パンデリクティスのような魚が両生類へと進化する際に
手足の可動域を広くするために胸鰭がついている頭の骨を後方へと移動していく。
この移動した骨が肩の骨となり、ついでに首も出来る。
やがてアカントステガのような両生類へと進化し… そして陸上へ…

初期の両生類?のアカントステガ… の化石
この頃はまだ指が8本だったとか…?
進化していくと指も5本に落ち着くらし




と、まぁそんなこんなで魚の鰭が四肢動物の手足になったのは間違いなさそうだ。

我らがポリプテルスの胸鰭にも肉厚の太い基部があり
まるで肉鰭類の胸鰭のように見えるが、肉鰭類ように四肢動物にも見られる骨がない。
それじゃあポリプテルスの胸鰭は一般的な普通の魚と同じ構造の胸鰭かというと… 違う。
ところがぎっちょん!である。

実はポリプテルスには鎖骨があるらしい。
鎖骨と言うのは人間にもあるあの鎖骨だ。
もちろん一般的な魚にはない。
(肉鰭類にはあるそうだが…)
鎖骨とは肩を安定させ、腕をいろんな方向に稼動させる骨で
人間はもちろん、猿やリスなど手を器用につかう生物にしかない。
(鳥にもあります)
そんな骨がなぜかポリプテルスにもある。
たしかに胸鰭を器用に使ってるように見えるけど
本当に鎖骨が必要だったかどうかは疑問である…
そもそも何故、陸上でも限られた生物しかもたない鎖骨がある?
何故、鎖骨まで作っておいて鰭には四肢動物に通じる骨がないの??
ポリプテルスの祖先は一度は陸を目指したとでもいうのか??
陸を目指しながらも途中で目指す必要がなくなったのか…?
実はポリプテルスの祖先も初めは四肢動物に通じる骨持っていたけど
陸を目指す必要がなくなったので泳ぐための骨になったのだろうか?
もしかしたら、陸上を目指した名残で肉厚の基部を持つ鰭になったのかな?
パンデリクティスのように水底を歩くためだったと考えるのが妥当なところとは思うけど。



ハイギョのネオケラトゥドゥス
人間も元を辿るとこの仲間?
こいつの鰭もまた四肢動物の腕に近い構造なの?