クエン酸を経口摂取した場合

クエン酸は、経口摂取をして約30分で血中濃度が一番高くなり、その後数時間で元の濃度に戻るとされています。
経口摂取したクエン酸が、その名前からクエン酸回路を活性化すると思われがちですが、クエン酸回路への関与は疑問視されています。
クエン酸やATPが十分存在する時は、これ以上、TCA回路を経てATPを生産する必要がないので、生体は、生理的に、ホスホフルクトキナーゼ(PFK)活性を抑制すると考えられます。このことから、クエン酸はPFKの活性を抑制し、グリコーゲンの分解を抑制することで、解糖によるエネルギー産生を抑制し、乳酸がコリ回路で肝臓に運ばれ、再びグルコースに変換されるのを助けると考えられており、疲労回復を促進すると言われています。
クエン酸は、アセチル-CoAカルボキシラーゼを活性化し、脂肪酸合成を促進させるので、脂肪酸貯蔵も促進されます。
クエン酸は、血栓を予防する効果があると言われ、梅干やレモンなどに含まれ、酸味のもとになっています。また食酢には、クエン酸の他に、リンゴ酸、コハク酸、酢酸(体内でクエン酸に変化)などが含まれています。食酢には、高血圧を抑制する効果が知られています。また、赤血球の膜をしなやかにし、赤血球の変形能を改善し、血行を良くすると言われています。
クエン酸が分解すると血液はアルカリ性となり、次に体の恒常性を保つために尿がアルカリ性となります。痛風の原因物質である尿酸は酸なので、アルカリ性の尿には溶けやすく、たくさんの尿酸が排泄されて原因物質の血中の尿酸値が低下すると考えられています。
スポーツの後に、糖質と一緒に、クエン酸を摂取すると、肝臓や筋肉のグリコーゲン貯蔵が促進されると言われます(グリコーゲン・ローディング)。