BCAAの筋肉との関わり |
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BCAAは、必須アミノ酸の約40%、筋肉を構成するタンパク質の約20%を占めていて、筋肉を保つためにとても大切なアミノ酸です。運動時などのエネルギー代謝が促進される場合には、糖質・脂質に加えBCAAが筋肉で代謝され運動エネルギーとなる唯一の必須アミノ酸として利用されます。このとき、BCAAが体内で不足すると、筋タンパク質そのものを分解・燃焼させてエネルギーが供給されると考えられています。このことに関して、以下の実験結果が報告されていますので紹介します。 |
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健康な成人男性(18歳〜30歳)に、運動の45分と20分前にBCAAを38.5mg/kg体重ずつ2回(合計77mg/kg)摂取したグループと、比較としてプラセボを摂取したグループに、運動の強度を最大強度の約70%〜75%に設定したエルゴメーターを、片足で1時間こぐ運動をさせる実験結果から、BCAAを摂取したグループでは、動脈血中と筋中のBCAA濃度が上昇し、筋肉から遊離する必須アミノ酸量は減少していました。すなわち、投与したBCAAが運動中の筋タンパク分解を抑制し、代わりに筋肉中で分解されてエネルギーとなったと考えられると報告されています。 |
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マラソンレースで3〜3.5時間で完走したランナーのうち、最初の10kmを走行するのにかかった時間と、10kmから42.195kmを走行するのにかかった時間の比を指標にして、レース中にBCAA4g(4000mg)を4回摂取させたグループと摂取しないグループとを比較する実験結果から、摂取した方のグループで、その比が小さかったと報告されています。 |
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以上の結果より、BCAAを運動前・運動中に摂取すれば、動脈血内のBCAA濃度が高まることで、運動による筋タンパク質の分解を抑制し、筋肉の損傷を軽減し、「運動による筋肉の損傷に対する免疫反応が起こることにより発生する痛み」(筋肉痛)を和らげるとともに、この傷の回復を早めることができると考えられます。 |
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BCAAは気力や集中力にも関係する |
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ある種のアミノ酸は神経伝達物質の前駆体である事から、アミノ酸代謝変動が神経伝達物質代謝を変化させ、中枢疲労に関与すると考えられています。 |
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そこで、種々の運動時の血中遊離アミノ酸の変動を測定しグラフ化したところ、運動時間が長時間になるほど、運動前に比較してBCAAは低下傾向をAAAは上昇傾向を示すことから、BCAA(分岐鎖アミノ酸;バリン・ロイシン・イソロイシン)とAAA(芳香族アミノ酸;チロシン、フェニ-ルアラニン)の比(BCAA/AAA)が低下する傾向にあると報告されています。 |
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運動による中枢性疲労は、脳内にセロトニンという神経伝達物質が増えることにより引き起こされると考えられています。正常なヒトにセロトニン合成の原料であるトリプトファンを飲ませるとおとなしくなることから、セロトニンは、脳の活性を抑制して精神を安定させる作用がある反面、「やる気」や「アクティブ感」は減少し、「疲労感」を生む物質でもあると捉えることができます。
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BCAAを十分に摂取していると、脳内へのトリプトファンの流入が減り、セロトニンの合成が抑制されます。更にBCAAは脳の神経伝達物質グルタミン酸の合成の材料となることから、血液中のBCAA濃度が保たれていることが、気力・活力や集中力の維持につながると考えられています。 |
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